HELP! (1965)
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1. | Help! (Lennon & McCartney) |
2. | The Night Before (Lennon & McCartney) |
3. | You've Got To Hide Your Love Away (Lennon & McCartney) |
4. | I Need You (George Harrison) |
5. | Another Girl (Lennon & McCartney) |
6. | You're Going To Lose That Girl (Lennon & McCartney) |
7. | Ticket To Ride (Lennon & McCartney) |
8. | Act Naturally (Johnny Russel & Vonie Morrison) |
9. | It's Only Love (Lennon & McCartney) |
10. | You Like Me Too Much (George Harrison) |
11. | Tell Me What You See (Lennon & McCartney) |
12. | I've Just Seen A Face (Lennon & McCartney) |
13. | Yesterday (Lennon & McCartney) |
14. | Dizzy Miss Lizzy (Larry Williams) |
Produced by George Martin
[参加ミュージシャン] ()内は、参加した楽曲と担当した楽器を表わす
ジョージ・マーティン
(10, ピアノ)、ジョニー・スコット (3, フルート)、トニー・ギルバート (13, バイオリン)、シドニー・サックス
(13, バイオリン)、ケネス・エセックス (13, ビオラ)、フランシスコ・ガバロ (13,
チェロ)、
[アルバム概論]
映画 "A Hard Day's Night"に続くビートルズ主演映画の第2弾は、1965年に封切られた「ヘルプ!」である (日本公開時のタイトルは「4人はアイドル」。また、監督は前作と同じくリチャード・レスター(12) が務めている)。
本作は、映画「ヘルプ!」用に作られた7曲 (いずれもアルバムの前半に収録されている) と、アルバム用にレコーディングされた7曲によって構成される。全14曲のうち12曲までを自作曲が占め、アルバム "A Hard Day's Night" 以来のオリジナリティの高い作品となった。
前作までのアルバムとの比較における本作の最大の特徴は、各メンバーによるクリエイタ−としての自己主張の高まりであろう。従来の作品においては、ジョン・レノン (もしくは、若干の楽曲によってはポール) が発揮するリーダーシップのもとで、各メンバーが与えられた役割をこなすことによって個々のナンバーを創り上げている印象があった ("Beatles For Sale" に収録されたオリジナル曲は、その意味で一つのピークを迎えた作品群と言える)。
対して、本作においては、ジョンの作品がソングライター自身を対象化した内省的な響きを深めていくのみならず、ポールは "Tell Me What You See" や "Yesterday" によって自身の作品世界を大きく拡張し、また、ジョ−ジはビートルズのアルバムとしては初めて2曲の自作曲を発表するに至っている。加えて、リンゴもまた、カントリー・ナンバー "Act Naturally" のカバー・バージョンでリード・ボーカルを取ることによって、自らの音楽的な志向性を明らかにしたと言える (それまでのリンゴのボーカル・ナンバーは、ピート・ベストや他のメンバーからのお下がりとの印象が強かった)。
すなわち、各メンバーがそれぞれ異なる方向にそのベクトルを向けることで、各自のソングライターもしくはクリエイターとしてのアイデンティティの確立を強く自覚し始めた最初の作品として、本作は位置付けられるものと考えられる。言い換えるならば、本作は、ビートルズがそれまでのソングライター・チームとしての活動から、ソングライターの集団としての活動へ大きくハンドルを切り始めた最初のアルバムであると結論づけられるのではないだろうか。
本作については、さらに一点を加えておきたい。詳しくは、個別 のオリジナル曲の紹介ページで触れていくが、このアルバムに収められた個々の楽曲の出来映えからは、ビートルズの各メンバーが、作曲から編曲、作品ごとの細かい味付けに至るまでの様々な手法、テクニックを完全に自らの手中に収めていく様子が伺える。
彼らは、本作を仕上げる過程において、自らの創作能力の範疇を理解し、必要な場面 で必要な能力を駆使する術を身につけてしまったかのように感じられる。ビートルズとして、無から有を生み出す能力、すなわち、音楽としての器を創造する能力については、本作において、ほぼ完成に近付いたと考えてよいであろう。後は、器の中の盛り付けを考えればよいのである。飛躍のための条件が、ここに出揃ったと言える。
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