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映画 「ヘルプ!」
映画「ア・ハード・デイズ・ナイト」 の公開からほぼ1年を経て封切られたビートルズ主演映画の第2作。前作と同じく、プロデューサーをウォルター・シェンソン、監督をリチャード・レスターがそれぞれ務めている。
前作の「ア・ハード・デイズ・ナイト」が、人気ロック・グループとしてのビートルズのイメージをほぼストレートに伝えることでドキュメンタリー・タッチの映画となっていたのに対し、本作は、荒唐無稽ながらもストーリーを重視したドラマ性の強い作品となっている。反面 、主役の扱いを受けたリンゴを除く他の三人については、そのキャラクターの描き分けが明確とは言い難く、各メンバーのアイロニックな個性がほとばしっていた前作の映像と比較すると、ビートルズそのものの魅力が伝わりにくくなったとの印象は否めない。
(とは言うものの、特殊な薬品によって小人にされたポールが裸で逃げ回り、他の三人が「ポールを踏むな」と言ってはしゃぎまわるシーンなどはかなり笑える)
映画「ヘルプ!」 は、リンゴの持つ指輪が秘教集団のいけにえ用の指輪であったことから、この秘教集団やマッド・サイエンティストらが、ロンドン、アルプス、バハマと舞台を代えてリンゴとビートルズを追いかけまわすロード・ムービー風の展開を見せる。
追っ手から逃げ続けるビートルズというテーマは、ファンの嬌声をかわしながらホテルやスタジオへ滑り込んでいた前作の内容に通 じるものがあるが、映画「ヘルプ!」 には、迫りくるファンの圧力を間一髪でかわすようなスリルはなく、また、限られた時間の中でスタジオへ駆け込むような緊迫感にも乏しい。むしろ、この映画は、奇想天外なストーリーやユーモアに満ちた個々の場面 を理屈抜きで楽しむエンターテインメントと捉えるべきであろう。
以下に、この映画の主なキャスティングと、演じた役柄について簡単に紹介しておきたい。なお、この映画の脚本は、前作で高い評価を受けたアラン・オーウェンに代わり、マーク・ベームとチャールズ・ウッドが共同で執筆している。
*ジョン: ジョン・レノン
*ポール: ポール・マッカートニー
*ジョージ: ジョージ・ハリソン
*リンゴ: リンゴ・スター
*クラン: レオ・マッカーン
(秘教集団カイリ教のリーダー。指輪を奪うためにリンゴの命を執拗に狙い続ける)
*アーメ: エリナ・ブロン
(カイリ教の信者でありながら、何度もビートルズを助ける謎の美女。物語の原因を作った人物であることが後に判明する。なお、演じた女優のエリナ・ブロンは、ポールの名曲「エリナ・リグビー」のモデルとなった女性としても知られる)
*プロフェッサー・フット: ビクター・スピネッティ
(世界征服のために指輪を奪おうと企むマッド・サイエンティスト。ビクター・スピネッティは、「ア・ハード・デイズ・ナイト」にもテレビ局のディレクター役で出演している)
*アルジャーノン: ロイ・キニア
(プロフェッサー・フットの助手。敵役でありながら、あまりのお間抜けぶりに憎めないキャラクター。この映画のナンセンスなギャグの部分を担う登場人物の一人である)
*警視: パトリック・カーギル
(ビートルズを警護するスコットランド・ヤードの警視。お約束どおり、ビートルズと追っ手の双方によって翻弄される)
*チャネル・スイマー: マル・エバンス
(ドーバー海峡を目指して泳ぎ続けるスイマーという以外は一切が不明。映画の中では2回しか姿を見せないが、いずれも印象に残る場面 で登場する)
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