ビートルズ特集


[評論 & エッセイ]-2




タイトル 地球音楽ライブラリー ビートルズ
著者 速水丈: 監修
発行 TOKYO FM 出版 1997年

 表面だけをなぞって通り過ぎてしまう人たちにビートルズの魅力を伝えたいという編者の意気込みが十分に感じられるビートルズ・データ集である。公式アルバムの解説に始まり、各メンバーのソロ・アルバム、オノ・ヨーコ名義のリリース作品、アップル・レーベルからリリースされた他のミュージシャンの作品、さらにはビートルズ関連の映像データに至るまで、国内で入手可能なビートルズ資料集としては他に例を見ないほどの充実ぶりと言える。

 惜しまれるべきは、時間の経過とともに欠落するデータが増加するという書籍メディアの悲しさであり (ポールが1997年にリリースしたアルバム「フレイミング・パイ」でさえ本書には間に合わなかった)、今後においては、リアルタイムでの情報提供という役割を別 のメディアが担うことになるだろう。



タイトル レコード・コレクターズ増刊 
ザ・ビートルズ ソロ・ワークス
著者  
発行 株式会社ミュージック・マガジン 1997年

 ファンの間ではロック専門の月刊誌 (実際にはロックに限らずかなり幅広い音楽を対象にしているのだが、主要なフィールドとしてはロックの印象が強い) として評価の高い「レコード・コレクターズ」が過去に特集したビートル・メンバーのソロ・アルバム解説を集めた増刊号である。加えて、オノ・ヨーコ作品や、アップル・レーベルの作品など、ビートルズ縁りのミュージシャンによるアルバムについても詳しく紹介されている。

 なお、本書の巻末には、それぞれのソロ・アルバムに参加したセッション・ミュージシャンを紹介する「共演者名鑑」が付されている。ファンの間では知名度が高いものの紹介される機会の少なかったエレファンツ・メモリーや、各ビートル・メンバーとの関連が深いにもかかわらず本人の作品が正当に評価されてきたとは言い難いジェシ・エド・デイビスなどが大きく取り上げられていることは、一ファンとして嬉しい限りである。



タイトル レコード・コレクターズ増刊 
ザ・ビートルズ コンプリート・ワークス1
著者  
発行 株式会社ミュージック・マガジン 1998年

 こちらもレコード・コレクターズに連載されたビートルズのオリジナル・アルバム解説を集めた増刊号だが、前掲書と異なり、最初からビートルズ特集として一冊にまとめられる予定のもとに連載が始められた企画であろうと想像される。従って、各アルバムごとにほぼ同様の視点から考察が行われ、結果 として、本書を通読することにより、各アルバムのリリースを重ねながらビートルズが歩み続けた足跡を概観することができる。

 収録曲に関する解説や、同一曲に関するバージョンごとのレコーディングの違いなど、入門者からマニアックなファンまでが幅広く楽しめる内容と言える。当然のことながら、続編のリリースが待たれる企画である ("1" の本書には、リリース年順にデビューアルバムから 「ヘルプ!」までの解説が収録されている)。

 追記: 2000年1月10日付で、リリース年順に「ラバー・ソウル」から「マジカル・ミステリ・ツアー」までを取り上げた「ザ・ビートルズ コンプリ−ト・ワ−クス2」が刊行された。

 追記2: 2001年1月10日付で、通称「ホワイト・アルバム」、「イエロー・サブマリン」、「レット・イット・ビー」及び「アビー・ロード」を取り上げた「ザ・ビートルズ コンプリ−ト・ワ−クス3」が刊行された。

 

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