マイ・キャプテン | |
ジェシ・エド・デイビス |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | My Captain |
リリース | 1972年 |
作詞・作曲 | ジェシ・エド・デイビス |
プロデュース | ジェシ・エド・デイビス、アルビィ・ギャルテン |
演奏時間 | 3分21秒 |
収録アルバム | 「ウルル」(アトランティック/1972年) |
ミュージシャン | ジェシ・エド・デイビス(ボーカル、ギター)、レオン・ラッセル(ピアノ)、ラリー・ネクテル(オルガン)、ビリー・リッチ(ベース)、ジム・ケルトナー(ドラムス)、メリー・クレイトン(コーラス)、ヴァネッタ・フィールズ(コーラス)、クライディ・キング(コーラス) |
[レビュー]
ジェシ・エド・デイビスは、コマンチ族とカウアイ族の両親の血をひくネイティブ・アメリカンとして、1944年、オクラホマ州のノーマンに生まれた。ジミー・リードらの影響で早くからギターを弾き始めていたジェシは、巡業でオクラホマを訪れたトゥイッティ・コンウェイの目にとまり、彼のサポート・メンバーとしてプロのキャリアをスタートさせる。
その後、コンウェイからロニー・ホーキンスを紹介されたジェシは、これをきっかけにロサンゼルスへ出向き、ホーキンスの口ききでレオン・ラッセルやレヴォン・ヘルム(ザ・バンドのオリジナル・メンバー)らと知り合うとともに、セッション・ギタリストとしての本格的な活動に手を染めることとなる。
LAにおけるジェシ・エド・デイビスのセッション活動の中で最も重要な意味を持つものは、タジ・マハールとのプレイであろう。黒人ブルース・ギタリストのタジ・マハールは、ジェシ・エド・デイビスのギター奏者としての才能を高く評価し、自身のアルバム「ナチュラル・ブルース」(1968年) や「ジャイアント・ステップ」(1969年) の中でジェシをソリストとして抜てきしている。
本ナンバー「マイ・キャプテン」は、ジェシ・エド・デイビスが1972年に発表した彼の第2作目のソロ・アルバム「ウルル」に収録された作品だが、この曲で歌われる「私のキャプテン」とはタジ・マハールを意味しており、ジェシ・エド・デイビスはこの曲の中で、偉大な先輩ギタリストであるタジ・マハールへの尽きることのない敬意と愛情を歌い上げている。
曲は、レオン・ラッセルの流麗ながらも深いうねりを感じさせる独特のピアノ伴奏に導かれてジェシが歌うボーカル・パートからスタートする。生粋のネイティブ・アメリカンであるジェシのボーカルは、黒人のソウルや白人のロック・ビートとは異なり、純朴な味わいを漂わせた独自のソウルフルな世界を生み出している。
曲のハイライトは、何と言っても後半のインストゥルメンタルのみによるソロ・パートの部分であろう。ボーカル・パートでは深いうねりを聴かせていたレオン・ラッセルのピアノがここに至って美しいアルペジオ風の伴奏に変化し、これに合わせてジェシが素晴らしいギター・ソロを紡ぎ出していく。隠し味的に加えられていたネクテルのオルガンとジム・ケルトナーのドラムスがエンディングへ向けて曲全体を盛り上げていくプロセスも見事であり、タジ・マハールへの敬慕の念のみならず、レオン・ラッセルやラリー・ネクテルらを含めたミュージシャン仲間の絆の美しさによって生み出されたナンバーと言ってよいであろう。
(ラリー・ネクテルは、ブレッドの後期のメンバーとして活躍したほか、サイモン&ガーファンクルの名曲「明日にかける橋」で素晴らしいピアノ伴奏を披露したキーボード・プレーヤーである)
[モア・インフォメーション]
ジェシ・エド・デイビスは、1971年に最初のソロ・アルバム「ジェシ・デイビスの世界 ("Jesse Davis")」を発表し、その翌年に「マイ・キャプテン」を含むセカンド・アルバム「ウルル ("Ululu")」をリリースしている。
デビュー・アルバムの「ジェシ・デイビスの世界」は、エリック・クラプトン、レオン・ラッセルら旧知の音楽仲間とのセッションがアルバムの前半部分を占めたこともあり、アルバム全体としては、ジェシの音楽世界が十分に完成されているとは言い難い一面 があった。(とは言うものの、アルバムの後半には、ジェシ自らが作曲した美しいバラッド・ナンバーの「太陽の女神」や、ヴァン・モリソン作品の珠玉 のカバー「クレイジー・ラヴ」が含まれている)
これに対して第2作目にあたる「ウルル」においては、ジェシ自身の音楽世界はすでに十分な深化を見せており、「マイ・キャプテン」のほか、タジ・マハールとジェシによる共作ナンバー「遠い道のり」や元ビートルズのジョージ・ハリスン作「スー・ミー・スー・ユー・ブルース」、また、トラディショナル・ソング「おおスザンナ」での独自の解釈など、味わい深いナンバーを多く聴くことができる。
なお、ジェシ・エド・デイビスのセッション・ギタリストとしての主な活動歴としては、マーク・ベノの「雑魚」(1971年)、ロッド・スチュワートの「アトランティック・クロッシング」(1975年)、ジョン・レノンの「ロックンロール」(1975年。クレジットはないものの "Stand By Me" における間奏のスライド・ギターはジェシのプレイと言われる)、エリック・クラプトンの「ノー・リーズン・トゥ・クライ」(1976年) などがある。
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