ビートルズ特集


[評論 & エッセイ]-1



タイトル 音楽の手帖 ビートルズ
著者  
発行 青土社 1981年

 モーツァルト、ベートーベン、バッハに始まる「音楽の手帖 / 作曲家シリーズ」に、クラシック以外の分野から初登場したのは本書によるビートルズである。評論家である渋谷陽一、北中正和を筆頭に、音楽家である林光、坂本龍一、泉谷しげる、井上陽水、桑田佳祐、文筆家である谷川俊太郎、山川健一、片岡義男、映像作家である篠田正浩、大森一樹、さらには演劇の分野から野田秀樹など、各界の著名人によって熱く語られるビートルズへの想いは、まさにビートルズ・エッセイ集といった趣きがある。

 「作曲家シリーズ」の他の巻と比較すると、ビートルズの音楽そのものを正面 から論じる作品が少ないことに不満も感じられるが、各著者のビートルズへの思い入れの深さがその欠点を補うかのようである。

 個人的には、文化の大衆化が浸透した20世紀を背景に、その時代の音楽を集約するフォルムとしてビートルズをとらえた三枝成章の評論が印象に残る。 (以上、敬称略) 



タイトル ビートルズってなんだ? 53人の"マイ・ビートルズ"
著者 香月利一 編
発行 講談社文庫 1984年

 タイトルのとおり53人の著名人 (寺山修司、水野晴郎、大薮春彦、和田誠、横尾忠則、永六輔、村上龍などが含まれる) によるビートルズ論、もしくは、ビートルズ体験をまとめたエッセイ集である。編者の意図は、時代の節目ごとにビートルズについて為された発言を集めることで、ビートルズの全体像をいくらかでも解明することにある。

 具体的には、1966年から1981年までに日本で発表された文献を時代を追って並べたものであり、結果 として、「サージェント・ペパーズ」のリリースを境に一種の不可侵性を獲得することによって、議論の対象から体験として語られる対象へとビートルズが変貌する過程を浮き彫りにしている。

 なお、個人的には、マリファナの不法所持によりポール・マッカートニーが日本で逮捕された際に、ポールの担当弁護人を勤めた松尾翼弁護士による「ポール・マッカートニー獄中記」がもっとも興味深く感じられた。 (以上、敬称略)



タイトル ビートルズ
著者 きたやまおさむ
発行 講談社現代新書 1986年

 「帰ってきたヨッパライ」でデビューし、「戦争を知らない子供たち」の作詩者としても知られる著者によるビートルズ論。広義の意味での「プレイ」を自らマネジメントすることで時代の潮流を生み出したビートルズと、アップルレコードの崩壊に加えグループの解体という事実によって提示されたその限界について語る。さらに、著者によるマネジメント論は、高度に技術化され管理化された時代を背景に、創造的な管理者としての「プレイ」への参加を、ポスト・ビートルズ世代への課題として突きつける。

 なお、同じ著者によるビートルズ論としては、本書の他に「人形遊び - 複製人形論序説」(中公文庫) がある。本書の「あとがき」に記される著者の言葉によれば、同書は、本書の「序説」を成すものとのことである。



タイトル スーパーロックガイド ビートルズ全曲解説
著者 ジョン・ロバートソン著/丸山京子訳
発行 シンコー・ミュージック 1994年

 1994年にオムニバス・プレスから出版された "THE COMPLETE GUIDE TO THE MUSIC OF THE BEATLES" の邦訳。ビートルズのすべての公式アルバム収録曲と、EMIから「パスト・マスターズ Vol. 1 & 2」のタイトルでリリースされた2枚のCDに含まれるすべてのシングルナンバー (これらを合わせると、解散までにリリースされたビートルズの全曲がカバーされる) に関する解説集である。

 英語圏の著者によるガイドであるから当然のこととも言えるが、各曲の歌詞に関する詳細な分析に加え、音節のアクセントからリズム&ブルースの影響を読み取る解説などは、残念ながら日本人の評論家には容易に真似しがたいものと思われる。

 また、解説されるすべての曲にレコーディングの年月日が付されていること、デビュー前に受けたデッカのオーディションでの演奏曲目やハンブルクでのライブ・プログラムを収録したアルバムが紹介されていることなどから、ファンにとっては手軽な資料集としての価値も高い。

 

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