ビートルズ特集


[評伝]-1



タイトル ビートルズ
著者 ジュリアス・ファウスト著/池ひろあき訳
発行 角川文庫 1972年

 本書の原書である "THE BEATLES" は、米国の社会学者であり、またジャーナリストでもある著者によって1968年に発表された。訳者は、60年代の象徴とも言えるビートルズ現象を分析する試みにおいて、本書がハンター・デービスの「ビートルズ」(中田耕治・小笠原豊樹訳、草思社) に並ぶ著作であることを「あとがき」の中で述べている。

 4人の生い立ちから修行時代、ハンブルクでのライブ活動、ブライアン・エプスタインのマネージャー就任を経てレコードデビューに至るいきさつが詳しく語られる。物語としては、ビートルズが「サージェント・ペパーズ」で頂点に登り詰め、「マジカル・ミステリ・ツアー」を発表するところで終わっているため、まさにビートルズの黄金時代の真只中にその勢いのまま描かれた感があり、最終章も楽観的なムードで結ばれている。様々な意味で、60年代という時代背景と、その中でビートルズが得ていた「輝ける存在感」を伝える著作と言える。



タイトル レノン & マッカートニー 明日への転調
著者 マルコム・ドーニー著/パンプキン・エディタース訳
発行 シンコー・ミュージック 1983年

 ビートルズの両輪であった作曲家コンビに焦点をあて、二人の幼年時代から、ビートルズ結成と解散を経て、ジョンの死に至るまでを綴るバイオグラフィである。かなり長い時間を扱ってはいるものの、中心となる記述はビートルズとしての活動歴であり、ハンブルクでの修行時代や、デッカのオーディションに失敗した後、EMIの傘下レーベルにいたジョージ・マーティンに見い出されるまでのいきさつはとりわけ興味深い。 また、オノ・ヨーコの登場からビートルズ解散に至るまでの経緯についても、決してスキャンダラスな取り上げ方ではなく、ジョンとポールの双方の視点から客観的に描こうと努める姿勢がうかがえる。

 なお、本書の原書は、"Lennon & McCartney" のタイトルで1981年 (初版) と1982年 (改訂版) に発表されているが、本書は1982年版のテキストに基づく邦訳である。


タイトル ビートルズ伝説
著者 マイルズ編 吉成伸幸訳
発行 シンコー・ミュージック (文庫)1986年

 膨大な量にのぼる4人のインタビュー、新聞記事からの抜粋に、編者自身による2回のインタビュー (1966年と1968年に行われたとのこと) の成果を加えて、テーマ別に編集された4人の発言録である。テーマの中では、曲が生まれたいきさつや作曲体験について語る「曲作り」と、個別 のビートルズ・ナンバーについて語る「ビートルズ・ソング」の章が興味深い。参考までに、「曲作り」の章の最後に紹介されるジョンの言葉を引用しておく。

 「ぼくの曲は楽譜になったらおしまいさ。........ 楽譜じゃブルースを表せない。........ 書けない音楽があるのさ。」 (114ページ、115ページから引用)

 

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