考えなおして | |
by ポコ |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | You Better Think Twice |
リリース | 1970年 |
作詞・作曲 | ジム・メッシーナ |
プロデュース | ジム・メッシーナ |
演奏時間 | 3分20秒 |
収録アルバム | 「ポコ」(エピック/1970年) |
ミュージシャン | ジム・メッシーナ(ギター、ボーカル)、リッチー・フューレイ(ギター、ボーカル)、ラスティ・ヤング(ギター、ボーカル)、ティモシー・B・シュミット(ベース、ボーカル)、ジョージ・グランサム(ドラムス)、ラリー・ネクテル(ピアノ)、ボビー・ドイル(ピアノ)、ミルト・ホランド(パーカッション)[曲別 のクレジットがないためアルバム全体のクレジットを転記] |
[レビュー]
70年代の米国ウエストコースト・ロック、そしてカントリー・ロックを代表するグループの一つであるポコは、60年代後半のロサンゼルスが生んだスーパー・グループ、バッファロー・スプリングフィールドの崩壊の中から生まれた。
バッファロー・スプリングフィールドのオリジナル・メンバーであるスティーブン・スティルス、ニール・ヤングが相次いでグループを去るなか(二人は後にCSN&Yを結成)、残されたリッチー・フューレイとジム・メッシーナはバッファロー・スプリングフィールドの最後のアルバムとなる「ラスト・タイム・アラウンド」(1968年)を完成させるとともに、このアルバムのレコーディングに参加したギタリストのラスティ・ヤング、さらにはラスティのかつてのバンド・メイトだったランディ・マイズナー(ベース)とジョージ・グランサム(ドラムス)を加えて新グループのポコをスタートさせる。
ポコは、1969年にエピックからデビュー・アルバムの「ピッキング・アップ・ザ・ピーシズ」("Pickin' Up The Pieces")をリリースしてレコード・デビューを飾り、翌年の70年にはセカンド・アルバムの「ポコ」("Poco")を発表して好調なスタートを切った。
(ポコのグループ名は、当時の人気コミック「ポゴ("Pogo")」にちなんで名付けられた。当初は「ポゴ」のグループ名でデビューする予定が、コミックの原作者よりクレームが付いたためにレコード・デビューの直前になって急遽「ポコ」へ差し替えられたと伝えられる。また、デビュー・アルバムのリリースを待つことなくオリジナル・メンバーのランディ・マイズナーがグループを脱退し、彼に代わってセカンド・アルバムのレコーディングにはティモシー・B・シュミットが新たなベーシストとして参加している。なお、ランディ・マイズナーは後にグレン・フライ、ドン・ヘンリーらとともにイーグルスを結成する)
本ナンバー「考えなおして」は、セカンド・アルバム「ポコ」の収録曲であり、また、このアルバムからシングル・カットされてチャート入りを記録したデビュー当初のポコを代表するヒット・ナンバーである。
曲は、アップテンポで爽やかな印象を与えるエレクトリック・ギターのイントロでスタートしてダブル・トラックの主旋律を歌うジム・メッシーナのボーカル・パートへと引き継がれる。ティモシー・B・シュミットのベース・ラインは絶妙のドライヴ感で曲の勢いを牽引し、また、ナチュラルな流れの中で添えられていくバック・コーラスとリズム・ギターが明るく華やかな曲のイメージを演出する。
ポコの音楽は、アメリカのトラッド・ミュージックとしてのカントリーをベースに、ウエストコースト・ロックに特有の美しいハーモニーと清涼感あふれるアレンジをミックスしたところに特徴があり、その意味で彼らはデビュー当時のイーグルスと共通 する個性を持つロック・バンドと言えるかもしれない。ただし、イギリス人のグリン・ジョーンズにプロデュースを委ねたイーグルスがメロディアスで感傷的な英国ロック風の旋律を得意としていたのに対し、ポコのサウンドはウエストコースト・ロックの象徴とも言えるほどに明るく、ポップでリズミカルである。
サイド・ギターのリフをそのまま転用するかのようなシンプルなギター・ソロやホンキー・トンク調のピアノなどカントリーの色彩 豊かなサウンドのなかにフォーク・ロック系の美しいコーラス・ワークが息づく本ナンバー「考えなおして」からは、米国ウエストコーストが育んだカントリー・ロックのポップな爽快感という彼らの特色の一面 が感じ取れるとともに、いずれ劣らぬ優れたソングライターであるジム・メッシーナとリッチー・フューレイの二人が並び立っていた当時のポコの魅力が溢れているように思われてならないのである。
[モア・インフォメーション]
グループのソングライター、ギタリスト、ボーカリストであり、また、アルバム・プロデューサーとしてポコを支えたジム・メッシーナは、通 算3枚目のアルバムとしてリリースされたライヴ作品の「デリバリン」(1971年/"DeLIVErin'")を最後にポコを脱退する(その後のジム・メッシーナは、ケニー・ロギンスとともにロギンス&メッシーナを結成)。
残されたメンバーは、イリノイ・スピード・プレスでプレイしていたポール・コットンを新ギタリストに迎え、リッチー・フューレイのリーダーシップのもとで「フロム・ジ・インサイド」(1971年/"From The Inside"/プロデューサーはスティーヴ・クロッパー)と「グッド・フィーリン・トゥ・ノウ」(1972年/"A Good Feelin' To Know")の2枚のアルバムを発表する。
しかしながら、デビュー以来のポコを事実上のリーダーとして率いてきたリッチー・フューレイが、次作のアルバム「クレイジー・アイズ」(1973年/"Crazy Eyes")のリリース直後にグループからの脱退を宣言(フューレイはJ.D.サウザー、元バーズのクリス・ヒルマンとともにサウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドを結成)。ポコはその存続を危ぶまれるが、ラスティ・ヤング、ポール・コットンを中心にメンバーの結束を固め、「ヘッド・オーヴァー・ヒールズ」(1975年/"Head Over Heels")や「シマロンの薔薇」(1976年/"Rose Of Cimarron")などのヒット・アルバムを生み出してこの危機を乗り越えていく。
リッチー・フューレイとジム・メッシーナを含むオリジナル・メンバーによるポコの再結成は、1989年のアルバム「レガシー」("Legacy")によって実現された。デビュー当初以来となる懐かしい顔ぶれ(前記の二人に加えてラスティ・ヤング、ランディ・マイズナー、ジョージ・グランサムが参加)でレコーディングされた「レガシー」は全米アルバム・チャートのトップ40入りを果 たすとともに、このアルバムからシングル・カットされた「コール・イット・ラヴ」("Call It Love")の大ヒット(全米チャートの第2位へ躍進)を生み出している。
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