プー横丁の家 | |
ロギンス&メッシーナ |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | House At Pooh Corner |
リリース | 1972年 |
作詞・作曲 | ケニー・ロギンス |
プロデュース | ジム・メッシーナ |
演奏時間 | 4分20秒 |
収録アルバム | 「シッティン・イン」(コロンビア/1972年) |
ミュージシャン | ケニー・ロギンス(ボーカル、ギター)、ジョン・クラーク(オーボエ)、ラリー・シムズ(ベース、コーラス)、ジム・メッシーナ(ギター)、マイケル・オマーティアン(キーボード)、ミルト・ホランド(パーカッション)、レスター・ガース(コーラス)、メレル・ブレガンテ(コーラス) <以上、曲別 のクレジットがないため、アルバム全体のクレジットより使用楽器のインフォメーションを転記> |
[レビュー]
ケニー・ロギンスとジム・メッシーナの二人によって結成されたロギンス&メッシーナは、1972年にコロンビアから「シッティン・イン」("Sittin' In")をリリースしてアルバム・デビューを飾り、以後、70年代の前半から半ば過ぎにかけて、フォーク、カントリー、ブルース、ラテン・ミュージックなどの多様な音楽要素を取り込んだポップなロックンロールを展開して、この時代のアメリカン・ロック・シーンに華を添えた。
ロギンス&メッシーナが結成されたきっかけは、バッファロー・スプリングフィールドやポコで活躍してきたジム・メッシーナが、カントリー・ロック・バンドのニッティー・グリッティー・ダート・バンドによって歌われた1970年リリースのシングル曲「プー横丁の家」を聴いたことにある(ニッティー・グリッティー・ダート・バンドのアルバム「アンクル・チャーリーと愛犬テディ」に収録)。
前述のバンド時代を含め、カントリー・ミュージックとポップ・センスの混合による新たなロック様式を模索していたはずの当時のジム・メッシーナにとって、カントリー・サウンドをまといながらもポップ・ソングとしての美しさを際立たせる「プー横丁の家」は、その興味をひくに十分な作品であったに違いない。
ジム・メッシーナはただちにこの曲の作者であるケニー・ロギンスにコンタクトし、彼のデビュー・アルバムのプロデュースを申し出る。しかし、制作を続ける中で、このアルバム「シッティン・イン」は二人の共作へ形を変えることとなり、自然発生的にロギンス&メッシーナというロックンロール・ユニットが誕生する。
(注: 上記のとおり「シッティン・イン」は、当初ケニー・ロギンスのデビュー・アルバムとしてジム・メッシーナがプロデュースを開始し、制作の途中から二人の共作に変更されたものである。このアルバムのクレジットは "Kenny Loggins with Jim Messina" と記載されたため、正確にはロギンス&メッシーナの名義によるファースト・アルバムは次作の「ロギンス&メッシーナ」ということになるが、一般 的には「シッティン・イン」がロギンス&メッシーナのデビュー作として扱われているため、本稿でもこれにならって記述することにした)
「シッティン・イン」に収録された「プー横丁の家」は、すでにニッティー・グリッティー・ダート・バンドによってヒットしていた同名曲のセルフ・カバー・バージョンということになるが、のみならず、ロギンス&メッシーナを代表する名曲としても知られるナンバーである。
曲は、アコースティック・ギターとオーボエが優しく導くイントロに続き、ケニー・ロギンスが歌うリード・ボーカルのパートによってスタートする。曲の構造としては、間奏をはさんで同じパートを3回繰り返すオーソドックスなものだが、一つのパートを構成する三つの主題間のつながりが興味深い。
すなわち、第二主題と第三主題は、いずれも第一主題から発展的に導かれるものの、全く異なるテーマに移行するのではなく、第一主題の再現形のごとく変奏的に登場する。一つのパートをあたかも通 作形式のごとく描き切るこの曲の展開はロック・ナンバーとしては異色であり、ケニー・ロギンスのソング・ライティングにおける個性は、無名時代に書かれた「プー横丁の家」においても十分に発揮されていると言ってよいであろう。
また、ロギンス&メッシーナの音楽上の特徴である優しさにあふれたハート・ウォーミングなアレンジは、キーボード、オーボエ、バック・コーラスを駆使する「プー横丁の家」においても十分な魅力をふりまいており、いずれの意味からもこの曲がロギンス&メッシーナの音楽性を象徴する楽曲の一つであることは疑いがないように感じられる。
[モア・インフォメーション]
ニッティー・グリッティー・ダート・バンドによる「プー横丁の家」は、ロギンス&メッシーナのバージョンと比較するとリズム・セクションがシャープなうえにプレイ時間も2分ほど短く、曲全体としてかなりコンパクトに引き締められた印象を受ける。カントリー・ロックとしてのアレンジを強く意識したためと考えられるが、双方のバージョンを聴き較べることで、それぞれのグループの音楽上の特徴が浮かび上がってくる様子が面 白い。
ロギンス&メッシーナは、1976年の解散までに9枚のアルバムを発表しているが、なかでも1973年リリースの「フル・セイル」("Full Sail")の評価が高い。このアルバムからは、「マイ・ミュージック(放課後のロックンロール・パーティ)」と「川の流れのように」の2曲がヒット・チャート入りを果 たしている。
ロギンス&メッシーナの解散後、ケニー・ロギンスは、「未来への誓い」("Celebrate Me Home"/1977年)や「ナイトウォッチ」("Nightwatch"/1978年)などの優れたアルバムを発表し、ソロ・アーティストとしても高い評価を受ける。また、90年代に入ってからも、ギタリストのデヴィッド・リンドレーや尺八奏者のカズ・マツイを起用したアルバム「リープ・オブ・フェイス」("Leap Of Faith"/1991年)を発表して話題を集めた。
一方のジム・メッシーナも、80年代以降にソロ・アルバムを相次いで発表するなどの活躍を続けているほか、1989年にはポコを再結成し、久方振りのアルバム「レガシー」("Legacy")をリリースしている。
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