[グラミー賞/リズム&ブルース部門]
グラミー賞は、1958年の開設以来、受賞対象部門の拡大を続けて今日に至っている。その中でもリズム&ブルース部門は、カントリー部門と同じく1967年に受賞者の発表が開始され、本来の受賞対象とみなされていたポップス、ロックのアーティストを除けば、最も早い時期からその表彰がスタートした音楽部門である。
リズム&ブルース部門に対する表彰の早期スタートは、ロック・ミュージックのルーツの一つを形成する黒人音楽に対してレコード業界全体が抱いていた深い敬意と、当時の音楽マーケットにおいて黒人音楽が占めていたウエートの大きさの両方を物語るものと言えるだろう。
SWING ART では、リズム&ブルース部門の受賞者を最優秀女性ボーカル、最優秀男性ボーカル、最優秀グループ/デュオの各ジャンルごとに表彰がスタートした1967年から1990年まで掲載している。
個別の受賞者のなかで特筆すべきは最優秀女性ボーカル部門の常連と言ってよいアレサ・フランクリンであろう。「リスペクト」、「チェイン・オブ・フールズ」などの名曲を立て続けにリリースしたアレサは、この部門の表彰がスタートした1967年から8年連続でグラミーを獲得し、さらに80年代においてもジョージ・マイケルとのデュエット曲「愛のおとずれ」によるデュエット部門の受賞を含めR&B部門だけで通 算4回のグラミー賞を受賞している。まさに「ソウルの女王」の面 目躍如と言うべき活躍ぶりである。
一方、最優秀男性ボーカル部門の受賞者リストには、オーティス・レディング、B.B.キング、レイ・チャールズらの錚々たる顔ぶれが名を連ねている。また、アルバム「トーキング・ブック」のリリースを皮きりに自らのプロデュースによってコンセプト・アルバムの制作に手を染めていくスティーヴィー・ワンダーが、以後、この部門の常連的な受賞者に成長している点にも注目したい。
60年代から70年代にかけて、白人リスナーを主な対象とするロックンロールのマーケットに対し独自のポジションを築き上げてきたソウル、リズム&ブルースの黒人音楽は、やがて80年代以降に登場するマイケル・ジャクソンやプリンス&レボリューションらの活躍によって人種の壁を超えた幅広い支持を勝ち取ることになる。
しかしながら、鋭い眼差しで時代と社会を見据える作品を相次いで発表したスティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイがすでに70年代にその現象の端緒を開いていたことを忘れるべきではなく、グラミー賞におけるリズム&ブルース部門の受賞者リストの変遷からは、黒人ミュージシャンが人種間を超えて普遍的に共有されるべき価値観を音楽を通 して描き出してきたプロセスが読み取れるようにも思えるのである。
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