サンシャイン | |
スティーヴィー・ワンダー |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | You Are The Sunshine of My Life |
リリース | 1972年 |
作詞・作曲 | スティーヴィー・ワンダー |
プロデュース | スティーヴィー・ワンダー |
演奏時間 | 2分58秒 |
収録アルバム | 「トーキング・ブック」(モータウン/1972年) |
ミュージシャン | スティーヴィー・ワンダー(ボーカル、キーボード)、スコット・エドワーズ(ベース)、ダニエル・ベン・ゼブロン(コンガ)、グロリア・バーリー(ボーカル)、ラニ・グローヴス(ボーカル)、ジム・ギルトラップ(ボーカル) |
[レビュー]
デビュー当初より天才少年と騒がれ、モータウンを代表するヒット・メーカーとして数々の名曲を生み出してきたスティーヴィー・ワンダーは、今やソウル・ミュージックの世界にとどまらず、ロックとポップス界の全体に及ぶ幅広い層のリスナーやミュージシャンから支持と尊敬を集めるアーティストである。
スティーヴィー・ワンダー(本名はスティーヴン・ダグラス・ジャドキンス)は、1950年生まれ、米国ミシガン州サギノウの出身。生まれながらに盲目というハンディを背負いながら、わずか5歳にしてピアノ、ハーモニカをマスターするなどの才能を発揮したスティーヴィーは、弱冠11歳でモータウンと契約。1962年にデビュー作「アイ・コール・イット・プリティ・ミュージック」をリリースして、プロのミュージシャンとしての第一歩を踏み出す。
その後、1963年の「フィンガーティップス・パート2」(R&Bとポップスのチャートでいずれも第1位 )や1966年の「アップタイト(エヴリシングズ・オールライト)」(R&Bチャートで第1位 、ポップ・チャートで第3位)などのヒット・シングルを連発したスティーヴィー・ワンダーだが、この頃のスティーヴィーは、モータウンのプロダクション・システムの中で、他の人気アーティストと同様にヒット・ナンバーの量 産に勤しむことを余儀無くされていたと言ってよいだろう。
ボブ・ディランの「風に吹かれて」をカバーするなど、早い時期から音楽作品としての社会的なテーマの追求を目指していたスティーヴィーは、70年代の初頭より自らのアルバム・プロデュースに積極的に関与する姿勢を見せる。また、モータウンとの一時的な契約切れを理由に自らプロデュースした2枚のアルバム(1971年の「ホェア・アイ・カム・フロム」と1972年の「心の詩」)がきっかけとなって、スティーヴィーは、モータウンとの再契約の際に自らの作品のプロデュース権を完全に勝ち取ることとなった。
再契約後のスティーヴィーがセルフ・プロデュースによって制作した最初のアルバムは、1972年発表の「トーキング・ブック」である。「サンシャイン」と「迷信」の2曲のスーパー・ヒットを含む「トーキング・ブック」は、その音楽的なクオリティのみならず、作品の題材が持つ普遍性やアルバムとしてのトータリティなど、様々な側面 において飛躍的な進歩を遂げる作品となった。
本ナンバー「サンシャイン」は、アルバム「トーキング・ブック」のオープニングを飾るナンバーであるとともに、R&Bチャートで第3位 、ポップ・チャートで第1位を獲得するなどのメガ・ヒットを記録したスティーヴィー・ワンダーの代表作である。また、この曲は、スティーヴィーの音楽性の広がりを如実に示すことによって彼のファン層の拡大に大きく貢献したターニング・ポイント的な楽曲でもあると言えよう。
曲は、スティーヴィーのボーカルとキーボード、そして、コンガが刻むラテン風の陽気なリズムと女性コーラスのエレガントなハーモニーを中心に展開する。幸福感に満ちた優しさと慈しみをたたえる旋律の美しさからは、ソウル・ミュージックのジャンルを超えて輝く音楽の魅力が溢れている。また、「サンシャイン」は、スティーヴィーの後年の代表作「心の愛」("I Just Called To Say I Love You" /1984年)などに裏付けられるソングライターとしてのスティーヴィーの類い稀な資質を華麗に開花させるきっかけを成した作品としても、ファンにとって忘れ難いものと思われるのである。
[モア・インフォメーション]
アルバム「トーキング・ブック」には、「サンシャイン」に加え、70年代のスティーヴィー・ワンダーの代名詞的なナンバーとも言える「迷信」("Superstition")が収録されている。ジェフ・ベックが率いたベック、ボガート&アピス(ヴァニラ・ファッジご参照)など多くの白人ミュージシャンによるカバー・バージョンを生んだ「迷信」は、自らが奏でるクラヴィネットのリズミックな伴奏に乗せてスティーヴィーのファンキーな魅力が炸裂するソウル・ナンバーの傑作である。
スティーヴィー・ワンダーは、その後もセルフ・プロデュースによってトータル性を持つアルバムの制作に取り組み、1973年に「インナービジョンズ」("Innervisions")、1974年に「ファースト・フィナーレ」("Fulltillingness First Finale")、1976年に「キー・オブ・ライフ」("Songs In The Key Of Life")を発表する。
「インナービジョンズ」は73年のグラミー賞で最優秀アルバムを含む5部門を独占し、また、「ファースト・フィナーレ」も翌年のグラミー賞を最優秀アルバム部門で受賞している。さらに「キー・オブ・ライフ」は、ビルボード誌のアルバム・チャートに初登場で第1位 を記録し、その後の12週間にわたって首位を独走する大ヒット作となった(このアルバムも76年のグラミー賞を最優秀アルバム部門で受賞している)。
輝かしい実績が物語るとおり、「トーキング・ブック」から「キー・オブ・ライフ」までの4枚のアルバムがスティーヴィー・ワンダーの創作活動におけるピークの一つを成し、また、70年代のソウル、ロック、ポップス界における最も豊かな実りを感じさせる作品群であることは疑う余地がないだろう。なお、スティーヴィー・ワンダーは、ソウル、ロックの垣根を越えたアーティストとしての活動と実績が評価され、1989年にロックの殿堂入り(The Rock and Roll Hall of Fame)を果たしている。
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