明日に架ける橋 | |
サイモン&ガーファンクル |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | Bridge Over Troubled Water |
リリース | 1969年 |
作詞・作曲 | ポール・サイモン |
プロデュース | ポール・サイモン、アート・ガーファンクル、ロイ・ヘイリー |
演奏時間 | 4分54秒 |
収録アルバム | 「明日に架ける橋」(ソニー/1970年) |
ミュージシャン | アート・ガーファンクル(ボーカル)、ポール・サイモン(コーラス)、ラリー・ネクテル(キーボード)、フレッド・カーター・ジュニア(ギター)、ジョー・オズボーン(ベース)、ハル・ブレイン(ドラムス)、ジミー・ハスケル(ストリングス・アレンジメント)、アーニー・フリーマン(ストリングス・アレンジメント) |
[レビュー]
ポップス史上にその名を残すフォーク・ロック・デュオ、サイモン&ガーファンクルは、トム&ジェリーのグループ名でリリースした1957年のシングル「ヘイ・スクールガール」によってレコード・デビューを果 たした。
この曲が全米チャートのトップ50に入るヒットとなったにもかかわらず一度はグループを解散した二人だが、60年代の初頭にともにフォーク・ブームの波に洗われたことで再びチームの結成を決意。1964年にサイモン&ガーファンクル名義のデビュー曲「水曜の朝、午前3時」をリリースして、黄金のデュオの歴史がその幕を開ける。
その後、「サウンド・オブ・サイレンス」(1965年の全米チャートで第1位 )、「早く家へ帰りたい」(1966年)、「アイ・アム・ア・ロック」(1966年)、「冬の散歩道」(1966年。90年代に日本の人気ドラマの主題歌としてリバイバル・ヒット)などのヒット・ナンバーを連続して生み出したサイモン&ガーファンクルは、1968年の「ミセス・ロビンソン」で再び全米チャートの第1位 を獲得する。
しかしながら、彼らの最大のヒット作は、デュオとしての最後のアルバムによってもたらされた。1970年にリリースされた彼らのラスト・アルバム「明日に架ける橋」の冒頭を飾る本ナンバーは、アルバムのタイトル曲であるとともに、同年のグラミー賞をレコード部門で受賞するなどサイモン&ガーファンクルの全キャリアを通 じて最も高い評価を得たシングル曲となったのである(全米のヒット・チャートでも第1位 に輝いている)。
曲は、ラリー・ネクテルのピアノ伴奏を従えて歌うアート・ガーファンクルの美しいテナー・ボーカルを中心に展開する。曲の進行とともに伴奏の楽器が増えてアレンジが厚みを増す演出は、ほぼ同時期に発表されたビートルズの「レット・イット・ビー」に似ているとの指摘もあるが、同じスタイルの伴奏を繰り返しながら音の厚みを加えていくビートルズのナンバーに対し、「明日に架ける橋」はピアノ伴奏そのものが曲の展開に応じて劇的に表情を変化させる点で全く異なるアイディアに基づくアレンジと言える。
ボーカル・ラインは歌詞を変えて同じパートを3回繰り返して歌うが、1回目のパートにおいては、静かに進むボーカルの表情に合わせてピアノもこれとほぼ同様のコード展開を押さえ気味になぞって奏でられる。次第に力強さを増していくボーカルとともに、ピアノ伴奏が速弾きやリズミカルなスタイルを交えてドラマティックな効果 を高めていくセカンド・パートは、この曲の最大の聴きどころと言えるほどに素晴らしい。
ギターやベースを隠し味的に用いる3回目のボーカル・パートは、それゆえの工夫が感じられる反面 、ストリングスとドラムスがやや前面に出過ぎた感のあるアレンジからはオーバー・プロデュースの印象も否めない。サウンド全体から受けるイメージとは裏はらに、この曲の真のクライマックスは、表情豊かなピアノ伴奏とともに暖かみのあるアート・ガーファンクルの歌声が印象的な前半部分にあると言えるのかもしれない。
[モア・インフォメーション]
アルバム「明日に架ける橋」のリリースを最後にデュオとしての活動を停止したサイモン&ガーファンクルだが、これによって二人の音楽キャリアに終止符が打たれたわけではない。
ポール・サイモンはソロのシンガー・ソング・ライターとして活動を開始し、「ひとりごと」(1973年)、「時の流れに」(1975年。同年のグラミー賞をアルバム部門で受賞)、「グレースランド」(1986年) などの優れたソロ・アルバムを作り上げた。 また、70年代の人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演し、元ビートルズのジョージ・ハリスンと競演している。
英米ロックのトップシーンを走り抜けたビートルズとサイモン&ガーファンクルのメンバーによるステージでの競演は、まさに歴史的なパフォーマンスと言えるのではないだろうか。二人はともにアコースティク・ギターを抱えて並んで椅子に座り、「ヒア・カムズ・ザ・サン」と「早く家に帰りたい」の2曲をデュオで歌い上げた。S&Gナンバーの「早く家に帰りたい」では、ジョージ・ハリスンが彼特有の優しい歌声でコーラスを重ね、また、ブルージーなギター・ソロによってこの曲に新たな発見と刺激をもたらしている。
一方のアート・ガーファンクルも、「エンジェル・クレア」(1973年) や「シザーズ・カット」(1981年) などのソロ・アルバムを発表して音楽活動を継続しているほか、映画俳優としても活躍中である。
なお、デュオとしてのサイモン&ガーファンクルは、1981年9月にニューヨークのセントラル・パークで行われたフル・コンサートによって待望の復活を果 たした。このコンサートはサイモン&ガーファンクルの継続的な再結成に至るものではなかったものの、二人はこの後に復活ツアーをおこない、その一部として日本でのコンサートも実現している。
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