青い影 | |
プロコル・ハルム |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | A Whiter Shade Of Pale |
リリース | 1967年 |
作詞・作曲 | キース・リード、ゲイリー・ブルッカー |
プロデュース | デニー・コーデル |
演奏時間 | 4分5秒 |
収録アルバム | 「青い影」(デラム・レコード/1967年) |
ミュージシャン | ゲイリー・ブルッカー(ボーカル)、マシュー・フィッシャー(オルガン)、デイビッド・ナイツ(ベース)、ボビー・ハリスン(ドラムス) |
[レビュー]
「青い影」は、ボーカリストのゲイリー・ブルッカーと詩人のキース・リードを中心に結成されたブリティッシュ・ロック・バンド、プロコル・ハルムのデビュー曲であるとともに、彼らの最大のヒット・ナンバーとなった作品である。
1967年4月にシングル・リリースされた「青い影」は、その3ヶ月後に全英チャートの第1位 へ到達、全米チャートにおいても第5位へランクインするヒットとなる。加えて、ヨーロッパ、アジアの音楽マーケットにおいてもヒットを記録するなど、世界的な規模で好調なセールスを記録する大ヒット・ナンバーとなった。
また、「青い影」は、映画、TVドラマ、TVコマーシャルなどのBGMとして繰り返し使用され、曲名は知らなくてもその旋律を知らぬ 者がいないほどのポピュラリティを獲得しているほか、キース・リードの象徴性に満ちた歌詞が絵画等の美術作品のモチーフとして採用されるなど、ロック・クラシックとしての領域を越えた高い人気と評価を得ている。
曲は、作曲者のゲイリー・ブルッカーがヒントを得たと言われるヨハン・セバスチャン・バッハのカンタータ第114番からの主題に基づくオルガン演奏によって開始される。 直後にゲイリー・ブルッカーのボーカル・パートがスタートしてオリジナルの旋律へ引き継がれるが、この部分においてもバッハ特有の下降ラインがベース・プレイによって描き続けられ、この曲が一貫してバッハのテーマに組み入れられたままで展開していくことを明らかにしている。
繰り返されるベース・ラインとドラムスのトラックに象徴されるように、この曲の全体の構造はイントロに登場するバッハの主題によって統合される。しかも、その統合を裏付けるはずのベースとドラムスが刻むリズムは、伝統的なクラシック音楽よりも、むしろリズム&ブルースに特有のディープなうねりに近いものであり、このリズム・トラックにオルガン・プレイを加えて生み出されるクラシカルな旋律の流れとブルース・ロックを特徴づける深いリズムの融合こそが、この曲を印象深く、また、忘れ難いものにしている最大の要因と言えるのではないだろうか。
「青い影」は、異なる音楽ジャンルの内側へ深く踏み込みながらも、同時に、自らのオリジナリティを高いレベルで保つことによってロックの表現形式に新たな可能性をもたらすものとなった。その意味で「青い影」は、ロック史上に残るヒット・ナンバーであるとともに、クラシックのフル・オーケストラとの競演を試みたムーディー・ブルースや、フルートを中心にジャズの要素を大胆に取り入れたジェスロ・タルらの同時代のロック・バンドに強い影響を及ぼした楽曲の一つとしても評価されるべきものであろう。
(「青い影」をプロデュースしたデニー・コーデルは、後にアメリカへ渡ってレオン・ラッセルとともにシェルター・レーベルを立ち上げ、フィービー・スノウやトム・ペティ&ザ・ハートブレーカーズらの新人アーティストの発掘に貢献した人物としても知られている)
[モア・インフォメーション]
ジョー・コッカーを始め無数のカバー・バージョンが生まれている「青い影」だが、ここではその中から元ユーリズミックスのアニー・レノックスがアルバム「メドゥーサ」(1995年)の中で発表したカバーに触れておきたい。
アニー・レノックスのバージョンは、オリジナル・バージョンのオルガン・パートをピアノの旋律に置き換えることで、バッハの主題部分の後半における分散和音的なフレーズの美しさを際立たせ(オリジナルではオルガンの二重奏となるため分散和音的なフレーズはそれほど目立たない)、プロコル・ハルムの原曲以上にバロック音楽のムードを高めることに成功している。
プロコル・ハルムは、本ナンバー「青い影」のリリース後に、デニー・コーデルのプロデュースによってデビュー・アルバムの「青い影」をレコーディングするが、この時点でギタリストのレイ・ロイヤーとドラマーのボビー・ハリスンがすでに脱退し、代わってロビン・トロワー(ギター)とバリー・J・ウィルスン(ドラムス)が加入している。
独特の粘り気のあるブルージーなギターを得意とするロビン・トロワーは、次第にゲイリー・ブルッカーと並んでプロコル・ハルム・サウンドのセンター・ポジションの一角を占める存在となるが、アルバム「ブロークン・バリケード」(1971年)のリリース直後に音楽上の意見の相違からグループを脱退する。ソロ活動を開始したロビン・トロワーは、ジミ・ヘンドリックスばりのストラト・サウンドによってブリティッシュ・ロックを代表するギタリストの一人として高い人気を得ることとなる。
なお、プロコル・ハルムのオリジナル・アルバムの中では、1969年発表の「ソルティ・ドッグ」と1973年発表の「グランド・ホテル」の評価が高く、一般 に彼らの代表作として扱われている。
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