59番街橋の歌 | |
ハーパース・ビザール |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) |
リリース | 1967年 |
作詞・作曲 | ポール・サイモン |
プロデュース | レニー・ワロンカー |
演奏時間 | 2分37秒 |
収録アルバム | 「フィーリン・グルーヴィー」(ワーナー/1967年) |
ミュージシャン | テッド・テンプルマン(ボーカル、ドラムス)、ディック・スコパートン(ボーカル、ギター)、エディ・ジェイムス(ギター)、ディック・カウント(ベース)、他 |
[レビュー]
1960年代の後半から70年代にかけてのロック・ミュージック界で生じた主要なトレンドを語るうえで、ワーナー・ブラザースのバーバンク・サウンドを無視することはできないだろう。
バーバンク・サウンドとは、ワーナーを代表する名プロデューサーのレニー・ワロンカー、「ソング・サイクル」や「ディスカバー・アメリカ」などの名盤を残したヴァン・ダイク・パークス、「セイル・アウェイ」や「ママ・トールド・ミー」などのヒット曲の作者として知られるランディ・ニューマンらを中心に、洗練されたポップス・センスとオールドタイム風のアレンジを巧みにミックスさせて奥行きのある独特のロック・サウンドを創りあげた一連の作品群を指す。ワーナー・ブラザースの本社ビルが建てられたハリウッド郊外の地名にちなんで、これらの作品群は一般 にバーバンク・サウンドと呼ばれることになった。
バーバンク・サウンドを担ったロック・グループの中で、とりわけ凝ったアレンジと美しいハーモニーで知られるグループがハーパース・ビザールである。
ハーパース・ビザールは、レニー・ワロンカーのプロデュースによるポール・サイモン作品のカバー「59番街橋の歌」で実質的なレコード・デビューを飾り(このグループはザ・ティキスというグループ名ですでに数枚のシングルをリリースしていたが、「59番街橋の歌」がティキスのサウンドとはあまりにも異なるという理由でグループ名を変更しての再デビューとなった)、直後に「59番街橋の歌」を含むデビュー・アルバムの「フィーリン・グルーヴィー」を発表して快調なスタートを切る。(「59番街橋の歌」は、全米チャートのベスト20入りを果 たしている)
本ナンバー「59番街橋の歌」は、60年代のフォーク・ロック・シーンで活躍したサイモン&ガーファンクルの楽曲としておなじみの作品である。ハーパース・ビザールのカバー・バージョンは、原曲が持つメロディとハーモニーの素朴な美しさをうまく生かしながらも、管楽器主体のアレンジを巧みに追加することでさらに華やかなイメージを植え付けることに成功している。
フルートを中心に木管楽器による音の温もりと柔らかさを巧みに引き出した職人芸的なアレンジは、当時のLA・ロック界のキー・パーソン、レオン・ラッセルによるもので、この編曲も含め、グループの看板とも言うべき夢見心地のような美しいコーラス・ワークを存分に生かしきった艶やかで柔和な曲のイメージは、ハーパース・ビザールの音楽上の特徴を十分に伝えるのみならず、バーバンク・サウンドにおけるソフト・ロックへの流れを決定づけたという意味でも記憶にとどめられるべきものであろう。
[モア・インフォメーション]
ハーパース・ビザールのデビュー・アルバム「フィーリン・グルーヴィー」には、「59番街橋の歌」のほか、ヴァン・ダイク・パークス作曲の「カム・トゥ・ザ・サンシャイン」、ランディ・ニューマンのペンによる「ハッピー・ランド」や「サイモン・スミスと踊る熊」(後者はランディ・ニューマンのナンバーとしてもヒットした)などバーバンク・サウンドを代表するソング・ライターの楽曲が数多く含まれ、ハーパース・ビザールがバーバンクを象徴するグループの一つであることを強く印象づけている。
その後もハーパース・ビザールは、セカンド・アルバムの「エニシング・ゴーズ」(1967年)を発表し、このアルバムからのシングル・カット「チャタヌガ・チュー・チュー」が全米のヒット・チャートにランク・インするなどの活躍を続けたが、4枚のアルバムを残して1970年にはバンドの解散に至る。
なお、リード・ボーカリストとしてハーパース・ビザールの中核的存在であったテッド・テンプルマンは、グループの解散後にプロデューサー業へ転じ、ヴァン・モリスンの「テュペロ・ハニー」(1971年)、リトル・フィートの「セイリン・シューズ」(1972年)、ドゥービー・ブラザースの「キャプテン・アンド・ミー」(1973年)など、ロック史上に残る多くの名盤やヒット・アルバムを手掛けることでワーナー・ミュージックを代表するプロデューサーの一人として足跡を残している。
・関連ページ ランディ・ニューマンのリンク集へ(ハーパース・ビザールの特集サイトを含む)
・関連ページ サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」へ
・関連ページ サイモン&ガーファンクルのリンク集へ
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