ジョン・レノンが遺した未発表音源をオノ・ヨーコの作品とあわせてリリースしたアルバム「ミルク・アンド・ハニー」(1984年) に収録されたジョンのナンバー。本来は、遺作となった「ダブル・ファンタジー」(1980年) に収録されるべく作曲された作品だが、アレンジが間に合わず、結果的に「ミルク・アンド・ハニー」の中で発表されることとなった。
自らが弾くピアノとリズム・ボックスだけをバックに歌うジョンのボーカルは、シンプルだが、それだけにいっそうこの曲の持つ美しさを際立たせる。
曲のスタイルとしては、オノ・ヨーコと出会った後のジョンが、ヨーコへの愛をテーマに作曲する「ジュリア」や「ラヴ」に連なるものと言えるが、とりわけ本作には、達観したかのように将来への不安感がぬ ぐい去られ、ためらいなく前途を迎え入れようとしているかのような印象が漂う。
どこで見かけたか思い出せないのだが、筆者の記憶によれば、ヨーコは、ジョンがこの曲について結婚式のBGMとしても使われるようなスタンダード・ナンバーになることを願っていたとコメントし、また、そのためにこの曲にはストリングスのアレンジが施される予定であったと述べていたように思う。
この記憶が正しいとすれば、ジョンは、ヨーコへのプライベートな感情を本作のコアに据えるとともに、作品のテーマとしては、さらに普遍的なコンセプトとしての "LOVE" を見通していたのではないかと想像される。ストリングスを用いるまでもなく、現在のバージョンのままで、ウェディング・ミュージックとして使われたとしても何ら違和感のない美しさと幸福感をたたえた曲であるように思う。
"Grow Old With Me" は、EMIが1990年にリリースしたCD4枚組の通 称「レノン・ボックス」においても、最終巻のエンディングを飾る曲として収録されている。楽曲としても、また、音楽が伝えるコンセプトのうえでも、ジョンの最後のメッセージとして選ばれるにふさわしいナンバーであろう。
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