1989年に公開されたジョン・レノンのドキュメント映画「イマジン」で使用され、この映画のサウンド・トラックを収めたアルバムの中で発表されたジョンのオリジナル・ナンバー。
ジョンの生前に完成されることはなく、ジョン自身のアコースティック・ギターをバックに本人のボーカル・パートを収録しただけのデモ演奏的なバージョンを、前記の映画の中で使用したものである。
曲調としては、「ジュリア」や「ラヴ」に連なる優しさをたたえた美しいナンバーと言える。ただし、歌詞の内容からは、現実を生き抜くことの孤独感のようなものが伺え、単純に自らの感情や楽観的な理想論を歌う他のラブ・ソングとは一線を画する内容になっている。
アコースティック・ギターだけのシンプルなアレンジからは制作途中の印象を強く受けるものの、第一主題から第二主題への展開、さらに間奏部分の後にリズムの変化をもたらして登場するミドル・パートを聴くと、作品の構想としては、ほぼ完成されていた様子がうかがえる。(即興的なプレイかもしれないが、ボーカル・パートの終了後にはアコースティック・ギターによる短いコーダまでが現れる)
もう少しの時間が与えられていたなら、作者のアイディアに沿った作品として完成を迎えていたと思われるだけに、突然にもたらされた永遠の中断が残念でならない。
なお、この曲は、1990年代の半ばに「フリー・アズ・ア・バード」のリリースでスタートした新生ビートルズの第二弾シングルとして新たな命を与えられることとなった。
これは、ジョンが遺したオリジナル・テイクをもとに、元ELOのジェフ・リンをプロデューサーに起用したポール、ジョ−ジ、リンゴの三人が、新たなアレンジと演奏部分を加え、ビートルズのクレジットのもとにこの曲のリメイク・バージョンを発表したものである。
第一弾シングルの「フリー・アズ・ア・バード」が、ジョンの未発表作品にポールによるミドル・パートを新たに加えることで名実ともにレノン&マッカートニーの新曲と成り得たのに対し、「リアル・ラヴ」はそもそもジョンの作品としての完成度が高いため、曲の主題として新たに追加された部分は全くないと言ってよい。従って、ビートルズの新曲としての魅力には欠けるものの、間奏部分で独特のフレージングを聴かせるジョージのギター・ソロなど、迂闊に聴き過ごせない要素を持っていることも事実である。
新生ビートルズの新曲は、この曲を最後に発表されていない。純粋にコマーシャルな目的を除けば、この時代にビートルズを復活させる必然性は乏しく、ブームに乗った安易なリバイバルが本当にファンの望むものであるのか、一考の余地ありと考えられたためであろうか。
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