ロック名曲セレクション


サンダウン
  ゴードン・ライトフット

なごみ
ダンス
ソウル

原題 Sundown
リリース 1974年
作詞・作曲 ゴードン・ライトフット
プロデュース レニー・ワロンカー
演奏時間 3分45秒
収録アルバム 「サンダウン」(リプライズ/1974年)
ミュージシャン ゴードン・ライトフット(ボーカル、12弦ギター)、レッド・シー(エレクトリック・ギター)、テリー・クレメンツ(アコースティック・ギター)、ジョン・ストックフィッシュ(ベース)、ジム・ゴードン(ドラムス)

 

[レビュー]

 穏やかなバリトン・ボーカルとハート・ウォーミングなメロディ・ラインでリスナーの根強い支持を受けるシンガー・ソングライターのゴードン・ライトフットは、1938年生まれ、カナダ、オンタリオ州オリリアの出身。

 50年代の終わりにロサンゼルスへ移住し、職業作曲家として活動していたゴードン・ライトフットは、フォーク・デュオのイアン&シルビアが取り上げたゴードンの自作曲「朝の雨」("Early Morning Rain")と「フォー・ラヴィン・ミー」("For Lovin' Me")をきっかけに米国のフォーク・ファンの注目を集める。また、イアン&シルビアのイアン・タイソンを通 してゴードンの存在を知った彼らのマネージャー、アルバート・グロスマンが、「朝の雨」を自らがマネジメントするピーター、ポール&マリーにレコーディングさせたところ(1965年)、この曲が予想を上回るスマッシュ・ヒットとなりゴードン・ライトフットへの注目度はさらに高められることとなった。

 (当時のアルバート・グロスマンはボブ・ディランのマネージャーとして活躍していた。また、彼がマネジメントしていたピーター、ポール&マリーは、ボブ・ディラン「風に吹かれて」をカバーしてヒットさせたことでも知られている)

 ゴードン・ライトフットにミュージシャンの才能を見い出したグロスマンは、ゴードンを説得してユナイテッド・アーティストと契約させ、このレーベルからデビュー・アルバムの「ライトフット!」("Lightfoot!" /1966年)をリリースしたゴードンはシンガー・ソングライターとしてのキャリアをスタートさせる。

 ユナイテッドに計5枚のアルバムを残したゴードン・ライトフットだが、彼のシンガー兼ソングライターとしての真の魅力が開花したのは1970年にワーナー傘下のリプライズへ移籍してからと言ってよいだろう。レニー・ワロンカー、ニック・デカロなどバーバンク系の人脈がバックを固めたリプライズ時代のアルバムからは、ゴードンの旧式めいたフォーク・シンガーのイメージが一掃され、ポップ色にあふれるフォーク・ロック・シンガーとしてのゴードン・ライトフットのキャラクターが強く表出することになったのである。(バーバンク・サウンドについてはハーパース・ビザールのページをご参照)

 本ナンバー「サンダウン」は、リプライズから1974年にリリースされた同名アルバムからのシングル・カット・ナンバーであり、アルバムともども全米チャートの第1位 に輝いたゴードン・ライトフットの最大のヒット曲である。

 曲は、アコースティック・ギターとベース、ドラムスが作り上げるリズム・トラックの上をゴードンのボーカルが歌い繋ぐシンプルなアレンジのもとで進行する。どことなくソウル色を感じさせるミディアム・テンポのリズムが印象的だが、エレクトリックのリード・ギターがブルージーな旋律を繰り返し挿入することで、ゴードン・ライトフットには珍しい黒人音楽的なニュアンスが曲全体から醸し出されている。

 ダイナミックなメロディ展開を得意とするポール・マッカートニー(元ビートルズ)や、ルーツ・ミュージックへの傾倒をあらわにするディランレオン・ラッセルなどのソングライター達と異なり、ゴードン・ライトフットの音楽上の特徴は、バロック以来の西洋音楽に息づく伝統的なバラッド・スタイル(音階に沿った自然な旋律とメジャーとマイナーが交差する印象的なコード・チェンジ)を素直に受け継ぐかのような落ち着きを感じさせる曲作りのなかに見出される。

 本ナンバー「サンダウン」は、ゴードンのソングライティングにおけるセンスと個性をそのまま生かしながら、さらに米国民が支持するアメリカの伝統音楽とも言うべきルーツ・ミュージックの要素を新たに加味するという試みが功を奏して、ゴードン・ライトフットの初めての全米チャート第1位 というビッグ・ヒットにつながったのではないかと思うのである。

 

[モア・インフォメーション]

 アルバム「サンダウン」からは、本ナンバー「サンダウン」に続いてシングル・カットされた「ケアフリー・ハイウェイ」が全米チャートのトップ10入りするヒットとなり、このアルバムは、すでに固有のファン層を獲得していたもののメジャー・ヒットが決して多かったとは言えないゴードン・ライトフットにとって彼の存在を全米のロック・ファンに知らしめる代表作となった。

 また、アルバム「サンダウン」は、「見張りのいぬ 間に」や「届かぬ祈り」など、いかにもゴードン・ライトフットらしい叙情性に満ちた優しい旋律をニック・デカロの優美なストリングス・アレンジが引き立てる美しいナンバーを多く含み、リプライズ時代のゴードン・ライトフットの魅力を最もよく伝える名盤としての評価を確立している。

 合わせて9枚のアルバムをリプライズに残すなど70年代に精力的なレコーディングを続けたゴードン・ライトフットだが、80年代に入ってその活動は陰りを見せ始める。元エア・プレイのデヴィッド・フォスターとの共作ナンバーを含むアルバム「イースト・オブ・ミッドナイト」(1986年/"East Of Midnight")のリリースを最後に80年代の後半に特に目立った活動のなかったゴードン・ライトフットは、1993年にようやく新作アルバムの「ウェイティング・フォー・ユー」("Waiting For You")を発表して従来からのファンを安心させている。

 なお、70年代からのゴードン・ライトフットのヒット曲をまとめて聴きたいというリスナーの方には、1997年にワーナーからリリースされた「ベスト・オブ・ゴードン・ライトフット」がお薦めの一枚であろう。

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