ビートルズ特集


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映画「バックビート」

 

 ビートルズの初代ベーシストであり、その画才を開花させる前に夭逝した悲運のアーティストとも言えるスチュアート・サトクリフは、ロック・ミュージシャンのプロモーション・クリップを手掛けていたイアン・ソフトリー監督にとって念願の題材であったと言われている。従って、レコードデビュー前のビートルズとスチュアート・サトクリフをテーマに描いた「バックビート」(1994年公開) が、ソフトリー監督の最初の劇場公開映画になったことは必然の成りゆきと言えるのかもしれない (ソフトリー監督は、シナリオライターのマイケル・トーマスと共同で自ら「バックビート」の脚本も担当している)。

 映画「バックビート」は、ややプロットの組み立てが粗雑との指摘 (3回にわたって繰り返されるハンブルク公演など、個々のエピソード間にどれくらいの時間が経過しているのかがわかりにくい点等を指しているものと思われる) を受けてはいるものの、港町の雑踏や退廃的な危うさなど、1960年代初頭のリバプールとハンブルクの街の情景を生き生きと再現することに成功している点で評価が高い。

 また、音楽プロデューサーを務めたドン・ウォズの指揮のもと、アフガン・ウィッグス、ソウル・アサイラム、ソニック・ユースらに属するオルタナティブ系のミュージシャン達によって生み出される当時のビートルズの疑似ライブ・サウンドも、この映画にとって欠かせない魅力の一つとなっている。

 (なお、ドン・ウォズは、ローリング・ストーンズのアルバム「ヴードゥー・ラウンジ」と "Stripped" の共同プロデューサーでもあり、1997年リリースの「ブリッジズ・トゥ・バビロン」ではジャガー&リチャーズの別名であるグリマー・トゥインズとともにアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねている)

 ここで、映画の簡単なストーリーと主なキャスティングを紹介しておきたい。

 主役のスチュアート・サトクリフを演じたスティーブン・ドルフは、スチュアート・ゴードン監督の「スペーストラッカーズ」(1997年) でデニス・ホッパーと共演しているほか、マリー・ハロン監督の「アイ・ショット・アンディ・ウォーホール」(1996年) にも出演している。アストリッド・キルヒャーを演じたシェリル・リーは、1992年公開の「ツインピークス」(デビッド・リンチ監督) でブレークした女優だが、同じくリンチ監督の「ワイルド・アット・ハート」(1990年) にも顔をのぞかせている。

 また、ジョン・レノン役のイアン・ハートは、ビートルズのマネージャーであったブライアン・エプスタインとジョンとの関係を描いた1991年公開の映画「僕たちの時間」(原題は "The Hours and Times"、監督はクリストファー・ミュンチ) でもジョン・レノンを演じた俳優である。

 <ストーリー>

 アート・スクール時代からのジョン・レノンの親友であったスチュアート・サトクリフは、自分の絵が売れたお金でジョンの薦めるままにベースギターを購入し、これがきっかけとなってジョンを中心に結成されるビートルズへベーシストとして加入する。ビートルズのハンブルクでのライブ活動に同行したサトクリフは、ビートルズが出演中のクラブ、カイザーケラーへクラウス・ブアマンの薦めでやってきた美大生のアストリッド・キルヒャーと知り合う。美術に対する共通の興味もあってアストリッドとお互いに引かれ合ったサトクリフは、元来、音楽への情熱に乏しかったこともあり、画家を志すことを決意してグループを離れ、ハンブルクへ留まることとなる。しかしながら、その後、演奏活動のためにハンブルクを三たび訪れたビートルズを待っていたものは、サトクリフが脳腫瘍のために21歳の若さでこの世を去ったという悲しい知らせだった。

 <キャスティング> 

 スチュアート・サトクリフ:  スティーブン・ドルフ
 アストリッド・キルヒャー:  シェリル・リー
 ジョン・レノン:  イアン・ハート
 ポール・マッカートニー:  ゲイリー・ベークウェル
 ジョージ・ハリスン:  クリス・オニール
 ピート・ベスト:  スコット・ウイリアムス
 トニー・シェリダン:  ジェームズ・ドハーティ
 クラウス・ブアマン:  カイ・ヴィージンガー

 

 ・関連ページ ビートルズ関連アーティストのリンク集へ(スチュアート・サトクリフの特集サイトを含みます)

 ・関連ページ ビートルズ・ムービー・サイト集

 

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