天国への階段 | |
レッド・ツェッペリン |
なごみ
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ダンス
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ソウル
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原題 | Stairway To Heaven |
リリース | 1971年 |
作詞・作曲 | ジミー・ペイジ、ロバート・プラント |
プロデュース | ジミー・ペイジ、ピーター・グラント |
演奏時間 | 8分 |
収録アルバム | 「レッド・ツェッペリンIV」(アトランティック/1971年) |
ミュージシャン | ロバート・プラント(ボーカル)、ジミー・ペイジ(ギター)、ジョン・ポール・ジョーンズ(ベース、キーボード、シンセサイザー)、ジョン・ボーナム(ドラムス) |
[レビュー]
レッド・ツェッペリンの前身となったロック・バンドのニュー・ヤードバーズは、1968年にイギリスで結成される。エリック・クラプトン、ジェフ・ベックらが在籍したことでも知られるヤードバーズの事実上の解散を受けて、一人残されたジミー・ペイジは、ヤードバーズの契約上の義務として残ったツアーを敢行するため新たなメンバーを集めてニュー・ヤードバーズを名乗る。[ 結成時のメンバーは、ジミー・ペイジ(ギター)、ロバート・プラント(ボーカル)、ジョン・ポール・ジョーンズ(ベース、キーボード)、ジョン・ボーナム(ドラムス)の4人。この顔ぶれは、ジョン・ボーナムの死によってレッド・ツェッペリンとしての活動にピリオドが打たれる1980年まで変わることはなかった。]
ヤードバーズとしてのツアーを完遂した彼らは、グループ名をレッド・ツェッペリンに改め、1968年12月に記念すべきデビュー・アルバムの「レッド・ツェッペリン」を発表する。リリース後わずか2ヶ月で全米アルバム・チャートの第1位 へ駆け上がったデビュー作「レッド・ツェッペリン」からは、ブルースをベースとしながらも単なる黒人音楽の模倣にとどまらず、既存の音楽様式を一度解体したうえでこれに自らのアイデンティティを強く刻印し、そしてヘヴィなハード・ロック・サウンドとして再構築するレッド・ツェッペリン特有の創作姿勢がすでに色濃く感じ取れる。
続いてリリースされた「レッド・ツェッペリンII」(1969年)と「レッド・ツェッペリンIII」(1970年)の2枚のアルバムが相次いでコマーシャルな成功を収め、またセカンド・アルバムの収録曲「胸いっぱいの愛を」("Whole Lotta Love")の絶大な人気も手伝って、レッド・ツェッペリンはブリティッシュ・ハード・ロックの頂点とも言える地位 を確立する。
その後、ツェッペリン・サウンドのさらなる実りは、グループの4枚目のアルバム「レッド・ツェッペリンIV」(1971年)によって実証された。ブルースに加え、彼らのルーツ・ミュージックとしてのトラッド・フォーク色を深く取り込む「レッド・ツェッペリンIV」は、その創作世界のいっそうの広がりによって高い評価を受けるとともに、レッド・ツェッペリンのシンボルとも言うべき歴史的名曲「天国への階段」を世に送り出すことになる。
本ナンバー「天国への階段」は、様々な意味でレッド・ツェッペリンを象徴する名曲と言えるだろう。曲は、陰影に富むフォーク調の美しいギター・フレーズでスタートして同じ旋律を歌うロバート・プラントのボーカル・パートへと引き継がれる。静かな佇まいを思わせるギターの伴奏をバックに印象的なメロディが歌われる第一主題から、曲はやがてリズミックなギター伴奏が主導する第二主題へと展開していく(開始から約2分後)。
開始後4分を過ぎるあたりからはドラムスのリズム・セクションが追加されて曲調はいわゆる通 常のロック、ポップス調のアレンジへと変化する。さらに開始後6分近くからはジミー・ペイジの典型的なハード・ロック・スタイルのギター・ソロが開始され、プラントのボーカルはお得意の驚異的なハイトーンによるシャウトを響かせる。ここに至って、曲はフォーク、ポップスの表情を順を追って披露した後に完全なメタル系ハード・ロックへと変貌する。
「天国への階段」は、統一された主題を繰り返し使用しながらも展開に応じて大胆に旋律とアレンジを変化させる変奏的なスタイルで作り上げられた楽曲と言えるだろう。すなわち、この曲は、同一のフレーズを繰り返し聴き手に刷り込ませることでヒット・チューンを生み出そうとするポップス界の常識とはかけ離れた手法によって生み出されたナンバーであり、それだけでも十分にユニークな作品と言える。
加えて、この曲の展開そのものが、グループのルーツ・ミュージックであるトラッド・フォークを彼らなりのスタイルで消化し、そして完全なオリジナリティを有するハード・ロック・サウンドへ再構築する創造のプロセスを表現していると言うべきであり、その意味で「天国への階段」は、レッド・ツェッペリンの創作上の特徴をわずか10分足らずの時間の中で象徴的に示している楽曲と考えられるのではないだろうか。
ルーツ・ミュージックへの深い愛着と理解、職人的なアレンジ能力、そしてハード・ロック・バンドとしての高次元のパフォーマンス能力のすべてが注ぎ込まれることによって生み出された「天国への階段」は、まさしくレッド・ツェッペリンの代表作であるとともに、ブリティッシュ・ロック史上に輝く金字塔的な名曲と言えるのではないかと思うのである。
[モア・インフォメーション]
アルバム「レッド・ツェッペリンIV」は、トラッド色豊かな「天国への階段」に加え、ハード・ロック・ナンバーの「ブラック・ドッグ」と「ロックンロール」、さらにはフェアポート・コンベンションのリード・シンガー、サンディ・デニーを迎えてドラマティックに展開される「限りなき戦い」などの各曲がバランスよく収録され、レッド・ツェッペリンの音楽上のさらなる成長を強く印象づけるアルバムとなった。
その後、全米アルバム・チャートの第1位に輝く「聖なる館」(1973年/"Houses Of The Holy")をリリースしたレッド・ツェッペリンは、1975年に自らのレコード・レーベル、スワン・ソングを設立し、このレーベルからの最初のアルバムとなる「フィジカル・グラフィティ」("Physical Graffiti")を発表する。(スワン・ソングは、レッド・ツェッペリンのオリジナル・アルバムにとどまらずバッド・カンパニー、プリティ・シングズなどのブリティッシュ・ロック・グループに新たな作品発表の機会を提供している)
さらに後期の彼らを代表する傑作アルバムの「プレゼンス」(1976年/"Presence")をリリースして健在ぶりを示したレッド・ツェッペリンだが、アルバム「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」(1979年/"In Through The Out Door")を発表した後の1980年9月にドラマーのジョン・ボーナムが急逝したことによってオリジナル・メンバーによるグループとしての活動には完全な終止符が打たれるのである。
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