マイ・ジェネレーション | |
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原題 | My Generation |
リリース | 1965年 |
作詞・作曲 | ピート・タウンゼント |
プロデュース | シェル・タルミー |
演奏時間 | 3分16秒 |
収録アルバム | 「マイ・ジェネレーション」(ブランズウィック/1965年) |
ミュージシャン | ロジャー・ダルトリー(ボーカル)、ピート・タウンゼント(ギター)、ジョン・エントウィッスル(ベース)、キース・ムーン(ドラムス) |
[レビュー]
英国ロック界が誇るブルース系ハード・ロック・バンドのザ・フーは、ロジャー・ダルトリー(ボーカル)、ピート・タウンゼント(ギター)、ジョン・エントウィッスル(ベース)、キース・ムーン(ドラムス) の4人によって1964年にロンドンで結成され、翌年の65年に「マイ・ジェネレーション」をリリースしてアルバム・デビューを飾った。
本ナンバー「マイ・ジェネレーション」は彼らのデビュー・アルバムのタイトル曲であるとともに、アルバムに先駆けてシングル盤としてリリースされ、全英チャートで第2位 に躍進したザ・フーを代表するヒット・ナンバーである。
曲は、キース・ムーンの叩きつけるような激しいドラム・プレイに導かれてシャウトするロジャー・ダルトリーのボーカル・パートでその幕を開ける。主題部分ではジョン・エントウィッスルの奏でるベース・ラインがボーカルのメロディに対する複旋律を構成し、これを受けて、ギタリストのピート・タウンゼントがリズム・セクションのプレイに専心するかのような荒々しいコードをかき鳴らす。
曲がインストゥルメンタルによる間奏部分へ進行してもこの構造に大きな変化はなく、主題部分と同じコード・パターンを繰り返す中で、ジョン・エントウィッスルのベースがボーカルに代わって低音部のメロディ・ラインを受け持ち、一方、ピートのギターとキース・ムーンのドラムスは激しくも開放的なリズム感を叩き出していく。
ギターをメロディ楽器としてほとんど使用することなく、代わりにベース・ラインをボーカルの対旋律として多用する独特のサウンド構成は、「マイ・ジェネレーション」に限らずザ・フーの多くのヒット曲において聴き取ることのできる彼らの音楽上の大きな特徴であり、ロック・バンドとしてのザ・フーの個性を考えるうえでの重要なファクターの一つと言えるだろう。
すなわち、ザ・フーは、ボーカル、ギター、ベース、ドラムスが各1名というロックを演奏するうえでの最小限の人員によってバンドを構成しているが、演奏される楽曲の中でギターが旋律を歌う機会がきわめて限られるという点において、他の多くのロック・バンドとは明らかに異なる特徴を有している(とりわけ同様のメンバー構成による他のバンドと比較した時にその特徴は際立っている)。そして、ギターに代わってベース・ラインが豊かな旋律を生み出すとともに、ピートのギターが作り上げる激しいリズム・プレイに乗せて、ドラムスのトラックまでが自由奔放な演奏を繰り広げるところにこのグループのロック・バンドとしての個性が強烈に打ち出されていると感じるのである。
ちなみに、ザ・フーはアルバム「フーズ・ネクスト」(1971年)を発表した頃からシンセサイザーを使い始めているが、他のロック・バンドがメロディ楽器としてのキーボードに着目したのに対し、ザ・フーがあくまでもリズム楽器のバリエーションの一つとしてシンセサイザーを使用し続けたことも、彼らの音楽観あるいはロック・バンドとしての自らの個性の重視を表すエピソードと言えるのではないだろうか。
本ナンバー「マイ・ジェネレーション」は、デビュー当時のザ・フーのサウンドを象徴するナンバーであるとともに、上記のとおり彼らの音楽上の個性が強く刻印された名曲と言えるだろう。エレクトリック・ギターによる徹底したリズム・セクションの強化というザ・フーのユニークなプレイ・スタイルは、U2のエッジやダイアー・ストレーツのマーク・ノップラーなど後続のギタリストに影響を与えているほか、70年代後半に一大ムーブメントとなるパンク・ロックの原形の提示という視点からもその歴史的な意義を軽視することはできないと考えられるのである。
[モア・インフォメーション]
ザ・フーは、1967年にモンタレー・ポップ・フェスティバル、1969年にはウッドストックのライブ・コンサートにイギリスからの客演としてそれぞれ出演し、エネルギッシュなプレイとピート・タウンゼントのギターを叩き壊す派手なパフォーマンスによって話題を集めた。
また、ザ・フーは1969年にロック・オペラというコンセプトを持つアルバム「トミー」を発表し、この作品が全米アルバム・チャートのトップ・テン入りを果 たすとともに、このアルバムからのシングル・ナンバー「ピンボールの魔術師」がヒットするなどの成功を収めている。「トミー」はその後に映画化(1975年/監督はケン・ラッセル)、さらにはブロードウェイでのミュージカルにも改作され、ロック史上に残る傑作アルバムとしての評価を確立する。
なお、スタジオ・レコーディングとライブ・パフォーマンスの双方で高い評価を受けるザ・フーだが、彼らのアルバム作品の中では、レコーディング・アーティストとしての才能が発揮された「フーズ・ネクスト」(1971年)とライブでの激しいパフォーマンスを伝える「ライブ・アット・リーズ」(1970年)の2枚がそれぞれの魅力を伝える傑作としての呼び声が高い。
最後になったが、ザ・フーが1990年にロックの殿堂入り(The Rock and Roll Hall of Fame)を果たしていることをお伝えしておきたい。
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